☆☆ 理論懇談会ニュース ☆☆ 1988.3.14 国立天文台(仮)理論天文学研究系の出発 池 内  了  昨年暮に内示された昭和63年度予算案で、東京天文台・緯度観測所及び空電研究所第三部門の合併 による国立天文台(仮称)の7月1日発足が正式に認められました。  内示された案では、研究部は22部門(教授22名、助教授42名、助手81名)です。理論天文学 研究系は、理論宇宙物理・回転天体流体理論の2部門(各々1、1、2の恒星)及び国内客員部門の共 通基礎理論が認められました。但し、客員部門は国立天文台全体として利用することになっていますか ら、必ずしも理論プロパーで人が呼べるわけではありません。また、天文学データ解析計算センターは、 助教授1・助手3という定員が認められました。  現在、これら22部門の人員配置について、準備調査室・人事構想委員会などで議論が進めらています が、理論天文学研究系は、三鷹に一部門(理論宇宙物理)と水沢に一部門配置で出発することになります。 三鷹に関しては、現在、太陽電波部に所属している、池内・高原・大木がそのまま移行することになりそ うですが、人事交流の活発化と新発足する理論天文学の先進性を発揮することを考え、助教授1・助手2 のポストを公募するという要求で人事構想委員会に臨んでいます。他の5研究系からの要求も厳しいので 楽観は出来ませんが、きちんと構想と要求を出しておくことは将来にとっても大事なことと思っています。 また、水沢では、東京天文台との人事交流の可能性を含め、将来構想の検討を進めておられるようです。 5〜7年後の第T期完成時までに、さらに1部門を加えると共に、三鷹に3部門が合流して行くことを目 標にしたいと思っています。  天文学データ解析計算センターは、当面、計算機の共同利用運用、天文学データ解析、理論のシミュレ ーション、という3本柱で出発して行くことが確認されています。現在計算施設に所属しておられる人の 希望や処遇を配慮しつつ、今後選任のセンター長や理論天文学を研究する助手を採用して行くよう働きか けて行きたいと思っています。実際、理論としてどの様な計算機利用システムがよいのか、よく検討し専 門委員会等を通じて国立天文台の方針に反映させてゆく必要があります。  また、旅費を中心として共同研究のための制度、研究会やサマースクール・国際会議などの開催、外国 への派遣・外国人研究者の招へいなど国際交流の制度など、理論には閉じない、しかし、理論にとって特 に重要な諸制度を具体的に提案し、概算要求化してゆくことも大切です。  国立天文台が単に共同利用のサービス機関でなく、若手の育成・全国の研究者のネットワーク化・柔軟 な予算運用による研究交流の活発化などについて要となるよう努力したいと考えています。理論天文学懇 談会からの積極的提案や批判を期待しています。